調査データ 2026.09.18

【R7年度総括】 麒麟のまちアンケート

執筆者
麒麟のまち観光局 調査チーム

1.会員の皆様へ

麒麟のまち観光局では、鳥取県東部と兵庫県北部にまたがる「麒麟のまち」圏域において、観光DXを活用した周遊促進、消費喚起、関係人口の創出に取り組んでいます。
麒麟のまちアンケートでは、圏域内を訪れた旅行者のリアルな行動や意識を把握し、今後の観光施策の改善や地域の事業者の皆さまの商品開発・情報発信に役立てることを目的としています。

令和7年度の来訪者アンケート(5,202件)を分析した結果、初めて訪れる方の増加や再訪・勧誘意向の高さなど、圏域への誘客や周遊促進に向けた成果が見られました。一方で、砂丘への訪問集中、若年層の取り込み、消費単価の向上、交通利便性などの課題も明らかになっています。

本分析結果を、圏域全体での情報発信や周遊・消費促進、受入環境の充実に向けた取り組みの参考として、ぜひご活用ください。

 

2.全体総括

本事業は、「周遊促進」「消費喚起」「関係人口の創出」の3点において一定の成果を創出した。

特に

  • 砂丘目的地以外の周遊行動の広がり
    依然として砂丘目的の来訪者は60%と大きな比率を占めるものの、砂丘を目的地に含まない周遊の動きが増えており、全体の周遊数は緩やかに増加傾向にある。
  • 宿泊客誘致による経済波及効果
    宿泊客の増加は周遊性を高める大きな施策となる。特に鳥取市街地のホテル等へ宿泊客を取り込む施策は、圏域全体へ波及効果をもたらすことが確認された。
  • 情報・キャンペーン効果による回答数拡大
    このへん共和国のシステムと連動したクーポン配布等の成果により、アンケート取得件数が5,202件(前期比+2,439件)と大幅に増加した。

一方で、大型連休の影響もあり春のキャンペーンは高い周遊性を示したものの、夏の海水浴客および秋冬の蟹シーズンにおける周遊促進策が不足しており、季節波動に合わせた需要の取り込みが今後の重点課題である。

 

3.項目別分析

① アンケート取得件数

  • 現状: 5,202件(R5年:3,499件、R6年:2,763件)。
  • 成果: このへん共和国のシステムと連動し、回答者にクーポン(300円)を配布する導線を作成したことで、回答数が前年対比大幅に増加。
  • 課題: 一定数の回答数を収集するためには、継続的にこのへん共和国と連動したキャンペーン施策に取り組んでいく必要がある。

② 属性

  • 現状: 回答者のうち圏域外在住者が85%と高い。居住地順は兵庫県(19.3%)、大阪府(13.6%)、岡山県(6.4%)、東京都(4.7%)。年代は50代(29.2%)と40代(20.9%)で半数を占める。初めて訪問の割合が22.0%に増加。
  • 成果: 圏域外からの誘客が多く、初めて訪れる人の割合が増加(13%⇒30%)。宿泊キャンペーンや万博会場でのPR、各観光協会HP・SNS戦略が効果を発揮。
  • 課題: 若年層(10代〜30代)の取り込みが弱い(32%⇒26%へ減少)。首都圏に向けたアンケート取得強化(東京のHP閲覧比率19%に対しアンケート取得は10%と乖離)が必要。

③ 旅行決定時期

  • 現状: 「1ヶ月前」が最多(25.6%)、「2ヶ月前」(14.4%)と合わせて全体の40%を占める。「1週間前」は14.9%。
  • 成果: 1か月前頃の予約の山が高くなってきている。宿泊を想定した遠隔地向けには1〜2ヶ月前、近隣向けには1ヵ月以内のプロモーションが有効。
  • 課題: 1週間前などの直前需要の取り漏れが想定される。意思決定タイミングの二極化によりプロモーションが複数回必要となり、コストへ影響する懸念がある。

④ 情報源

  • 現状: 観光CV協会HPが最多(33.4%)。次いでSNS・個人ブログ(25.2%)が多い。
  • 成果: 観光CV協会HPとSNSの効果が劇的に向上。HPは全世代、SNSは若年層に加え高年齢層(50代23%、60代16%)にも浸透し、非常に有効に機能。情報から販売への導線づくりも成果。
  • 課題: 各年代ごとの戦略的なSNSを活用した情報発信が不足している。

⑤ 目的

  • 現状: 観光・レジャーが78.4%と圧倒的。
  • 成果: 観光協会HPの情報内容の充実が、観光・レジャー客への誘客を促進。
  • 課題: 目的の多様化(友人訪問・帰省・業務のついで観光など)への対応が不足している。

⑥ 訪問先

  • 現状: 砂丘に加え、周辺地域への波及効果あり。
  • 成果: 砂丘以外を訪問した人の平均周遊数は8.1箇所と多く、砂丘を目的としない来訪者が増加傾向。このへん共和国の周遊CPも寄与。春・秋の周遊数が高い。
  • 課題: 依然として砂丘訪問率は60.1%と高く「砂丘依存」傾向。夏・冬の周遊キャンペーン強化、春の集客数拡大キャンペーンの強化が必要。

⑦ 日数

  • 現状: 近隣(関西)は1泊、関東などの遠方は2泊、海外在住者も2泊が最多。一方で宿泊者比率は61.6%へ低下(関西圏からの日帰り客が増加し総数を押し上げていると類推)。
  • 成果: 首都圏客の2泊の割合が増加傾向。鳥取市宿泊キャンペーンが総参加者11,390人と大きな成果を残し、延泊・滞在時間延長へ貢献。
  • 課題: 遠方(特に首都圏)からの誘客に向けたコンテンツ作り・プロモーションの強化、2泊以上の滞在に向けたコンテンツ造成、来訪者全体の属性・動機の深掘りが必要。

⑧ 消費

  • 現状: 観光消費額総額は前年比増加を想定(確定値未算出)。一方でアンケートによる単価は下落傾向(宿泊者単価:37,291円、日帰り単価:9,369円)。
  • 成果/課題: 宿泊キャンペーンにおける値引き要素が影響した可能性があり、追加データやセグメント別の整理を進め分析中。
  • 課題: 電子決済の推進、おみやげもののバリエーション充実、宿泊客の増加につながる施策やプロモーションの必要性。

⑨ 興味・期待

  • 現状: 全ての年代で食事、景色風景、癒やしへの興味や期待が高い。
  • 成果: 経年での変化なし。
  • 課題: 「期待が高い=ベースラインが高い」ため、少しの不満で満足度が下がり、差別化や単価・回遊への転換が難しくなる。

⑩ 満足度

  • 現状: 食事、景観、雰囲気、おもてなしなど満足度は総じて高い。土産に関する評価は若干上昇傾向。
  • 成果: 経年での変化なし(高水準を維持)。
  • 課題: 交通利便性やキャッシュレス対応、物価(コストパフォーマンス)への不満が根強く残る。

⑪ 認知

  • 現状: 認知度は上昇傾向。「麒麟のまち圏域」(11.3%)、「麒麟のまち観光局」(9.0%)、地域活性化への貢献実感(4.9%)。
  • 成果: 確実に認知度は向上している。
  • 課題: 認知度向上に向けたさらなるブランディング施策が必要。「名前」を知っている状態から「活動・成果」を知っている状態へ繋げる取り組みが課題。

⑫ 再訪意思

  • 現状: 再訪意思(84.1%)、勧誘意思(78.8%)ともに非常に高い。10代の意思が若干弱い。
  • 成果: 再訪意思・勧誘意思ともに経年で向上。
  • 課題: 数値向上の理由の分析が未実施。実際の再訪につなげる仕組みが不足している。

 

 

4.重点テーマ別総括

①周遊の観点

  • 成果: 砂丘を目的地に含まない周遊の動きが増え、全体の周遊数は緩やかに増加。特に春・秋の周遊性が高い。
  • 課題: 依然として砂丘訪問率が60.1%と高く「砂丘依存」。夏(海水浴客)や秋冬(蟹シーズン)の周遊促進策が弱い。
  • 今後: このへん共和国のシステムを活用した夏・冬の周遊促進CPの実施。来訪者数が少ない春の集客数拡大キャンペーンの強化。

 

②消費拡大の視点

  • 成果: 観光消費額総額は増加想定。鳥取市の宿泊キャンペーン(総参加者11,390人)による延泊・滞在時間延長効果。
  • 課題: アンケート上の宿泊・日帰りともに消費単価が下落傾向。おみやげのバリエーション不足、キャッシュレス対応への不満。
  • 今後: 電子決済(キャッシュレス)の推進、おみやげ品の充実、2泊以上の滞在に向けた高付加価値コンテンツの造成。

③訪問者(参加者)の成果

  • 成果: 初めて訪れる人の割合が大幅増加(13%⇒30%)。再訪意思・勧誘意思が共に向上し、良好な関係性を構築。
  • 課題: 10代〜30代の若年層の取り込みが弱く減少傾向。交通利便性に関する不満の解消。
  • 今後: 日帰り客・関西圏客の属性や来訪動機の深掘り分析。若年層をターゲットにした戦略的SNS発信の強化。

 

5.まとめ

①アンケートデータの取得件数維持・拡大

  • 観光シーズン前にアンケートハガキ設置場所(54先)へ定期訪問し、補充や掲示依頼を実施。
  • 道の駅連絡会の事務局運営を通じた連携強化、および「このへん共和国」との連携キャンペーン継続。

②有効なプロモーション戦略の構築

  • 各市町の情報発信担当者による四半期毎の「WEBマスター会議」を実施し、課題や成功事例を共有。
  • 圏域内での情報発信の共通認識を持ち、“点”ではなく“面”での情報発信を強化。

③周遊動向と消費の分析高度化

  • 「このへん共和国」を活用した夏・秋冬周遊促進CPの実施と、宿泊に繋がる周遊促進の分析。
  • 行政・観光事業者等が実行可能な誘客施策を立案できるよう、意思決定に資する分析とタイムリーな情報提供を行う。

今後は、来訪者、事業者、住民それぞれの満足度を高め、持続的な地域成長サイクルの確立を目指す。

 

 

補足:アンケートの見方

  • 対象期間: R7.4.1~R8.3.31
  • 手法・設置場所: 圏域内54先(各市町の道の駅、観光関連施設、宿泊施設)に設置されたQRコードより取得    内訳:鳥取市20先、岩美町5先、若桜町5先、八頭町4先、智頭町3先、新温泉町9先、香美町8先
  • 対象者: 不特定多数の来訪者
  • アンケート取得件数: 5,202件(前期比+2,439件)
  • 主たる調査項目: 属性情報、旅行決定時期、情報源、目的、訪問先、消費単価、興味・期待、評価・満足度、認知度、再訪意思 等

今回の分析から、地域の魅力を知ってもらうことに加え、実際の訪問や周遊、地域での消費につなげるための情報発信や仕組みづくりが重要であることが見えてきました。本データを、地域全体で観光客の受入環境や周遊・消費の仕組みを考えるための参考情報としてご活用ください。

 

調査概要や調査項目が分かる資料をPDFでご用意しています。下記よりダウンロードください。

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