調査データ 2026.07.10

【R8年度 第1四半期総括】「このへん共和国」マーケティングデータ

執筆者
麒麟のまち観光局 調査チーム

会員の皆様へ

「このへん共和国」では、観光DXを活用し、地域の周遊促進や消費喚起、観光客と地域との継続的なつながりづくりに取り組んでいます。

R8年度第1四半期は、鉄道をテーマとしたスタンプラリーを通じて、全7市町でのスタンプ獲得や、これまで訪れる機会の少なかった地域への来訪など、周遊のきっかけが生まれました。また、クーポンの利用によって、地域での買い物や飲食などの消費につながる動きも確認できました。

一方で、スタンプ獲得が鳥取市に集中していることや、会員登録の伸びの鈍化、観光体験などの消費拡大については、引き続き取り組むべき課題となっています。

今後は、圏域外への情報発信を強化するとともに、各地域の観光資源や加盟店の魅力を生かした周遊の促進、クーポンをきっかけとした消費の拡大に取り組んでまいります。

会員の皆さまにおかれましても、本データから見える来訪者の行動やニーズを、商品・サービスの開発や情報発信、受入環境の改善などにお役立ていただければ幸いです。

地域全体で連携しながら、訪れる楽しさと地域で過ごす価値を高め、麒麟のまちの持続的な観光振興につなげていきたいと考えております。

 

全体総括

第1四半期は、「麒麟のまちトレイン&トラベルラリーCP」(R8/6/1〜8/16)を中核施策として展開し、累計国民登録数は28,233人(R8/3/31比+311人)に達した。加盟店は256店舗へと拡大している。

特に

・周遊スタンプラリーによるエリア横断の移動創出(スタンプ獲得数4,054個・全7市町で獲得実績あり)

・クーポンを起点とした消費誘発(500円クーポン2段階特典で合計使用558枚、会計総額約64.2万円)

・「普段行かない地域」への訪問創出(自由記述でも鹿野・智頭・若桜などへの新規訪問が多数言及)

が確認され、R7年度総括で実証された「周遊促進・消費喚起」の効果が継続している。

 

一方で、国民登録の伸びが鈍化(第1四半期の純増は+311人)しており、R7年度のようなキャンペーン駆動の急拡大局面から定常運用局面へ移行している。また、ラリー参加者は圏域内在住者が50.3%と、全体属性(圏域外81.4%)とは逆転の構成となっており、圏域外へのリーチが第2四半期以降の重点課題である。

 

項目別分析

  • 1.国民登録
現状 ・累計28,233人。R7年度末(27,922人)からの純増は+311人と小幅

・新規登録を強力に牽引した大型キャンペーンが本四半期は限定的

成果 ・R9年度KPI(24,000人)はR7年度中に前倒し達成済み

・修正KPI、R8年度32,000名は未達。

課題 ・登録獲得のエンジンとなる新規キャンペーン・広告施策の再設計が必要

(SNS広告は7/1〜再開予定)

 

  • 2.属性
現状 ・全体では圏域外在住者81.4%と広域誘客構造を維持

・一方、ラリー参加者は圏域内50.3%と域内主体

・50代の構成比が高い傾向は継続

経年 ・体験アクティビティ・音楽・星空好きの構成比が増加傾向

(R7年度からの流れを継続)

・圏域外の訪問頻度は「10回以上」27.8%が「初来訪」26.1%を上回り、リピーター層が厚い

成果 ・リピーター基盤の形成が確認できる

・域内住民の参加を促す施策としてラリーが機能

課題 ・第一四半期のラリーは圏域外への訴求が弱い

・若年層の取り込みは引き続き弱い

 

  • 3.加盟店
現状 ・総加盟店256店舗(鳥取市123・香美町42・新温泉町35など)

・ラリー参加店舗は192店舗と高い参画率

成果 ・R8年度KPI(255店舗)を第1四半期で達成

・飲食89・宿泊79・体験59・物販56と業種バランスも確保

課題 ・若桜町(9店舗)・智頭町(12店舗)などエリア間の店舗数格差

・エリア格差がラリーのスタンプ獲得数格差(鳥取市2,306 vs 若桜町96)に直結

 

  • 4.周遊行動
現状 ・スタンプ獲得数4,054個。10スポット特典のクーポン取得が446枚に達し、深度の高い周遊層が存在

・エリア別獲得数は鳥取市が57%を占め集中

成果 ・全7市町で獲得実績がありエリア横断は実現

・自由記述でも「普段行かない地域を訪れるきっかけになった」と多数

課題 ・周遊の分散度合いは依然として都市部(鳥取市)依存

・クーポンの使い方・案内が分かりにくいとの声あり(導線改善の余地)

 

  • 5.消費
現状 ・500円クーポン1枚目:使用320枚/会計370,056円(単価1,194円)

・2枚目:使用238枚/会計271,726円(単価1,230円)

・合計でクーポン発行額(約27.9万円分のうち使用額分)を大きく上回る会計額を創出

成果 ・500円のインセンティブに対し約2.4倍の会計単価(1,200円前後)=クーポンが消費の直接トリガーとして機能

・新温泉町で単価1,833円〜2,150円と高単価消費が発生

・宿泊業種の単価5,461円と高い

課題 ・香美町・智頭町では単価500〜740円とクーポン額面止まりの消費が目立つ

・業種別では観光体験の利用が少なく、体験型消費の掘り起こしが課題

(R7年度総括「高付加価値コンテンツ不足」と一致)

 

  • 6. 情報・認知/満足度
現状 ・アンケート回答85件(応募684件に対し回収率約12%)

・ポスター・チラシ・QRコードの視認性は好評との自由記述あり

成果 ・満足度は総じて高く、温泉・食・駅舎・スタッフ対応への高評価が多数

・ラリー経由での新規国民登録も一定数発生

課題 ・旅マエでの情報接触機会の拡大は継続課題(R7年度総括の最優先課題)

・アンケート回収率が低く、分析の母数確保が課題

 

重点テーマ別総括

  • 1. 周遊の観点
成果 ・鉄道コンテンツを軸とした新しい周遊導線(若桜鉄道・恋山形駅など駅めぐり)を創出

・「知らなかったスポットに行けた」という新規発見の声が多数

課題 ・スタンプ獲得の鳥取市一極集中

・車依存の構造は継続(交通手段の過半は自家用車と推測されるが、本四半期の内訳数値は未確認)

今後 ・獲得数の少ない若桜・香美・智頭への誘導強化(特典条件のエリア傾斜配分など) ⇒ R7年度総括の「回りやすさ改善フェーズ」を継続

 

  • 2. 消費拡大の視点
成果 ・クーポンの2段階設計(5スポット/10スポット)により、深度の高い参加者への追加消費誘発に成功(2枚目も使用率53%)
課題 ・エリア間の単価格差(最高2,150円 vs 最低505円)

・体験型消費の利用低迷

今後 ・高単価エリア(新温泉町)の要因分析と横展開

・観光体験施設とクーポンの連携強化 ⇒ 「単価向上・質の向上」フェーズの継続

 

  • 3. 訪問者(参加者)の成果
成果 ・圏域外リピーター層(10回以上27.8%)の厚みを確認

・ラリーが域内住民の再発見・地域愛着醸成にも機能(「暮らす魅力を改めて感じた」等の声)

課題 ・新規登録獲得の鈍化

・ラリー参加者の圏域外比率(49.7%)が全体属性(81.4%)を大きく下回る

今後 ・SNS広告(7/1〜再開)との連動による圏域外への訴求強化

・リピーターを新規層への「伝播者」として活用する仕組み(紹介特典等)の検討

 

まとめ(第2四半期以降への提案)

  1. 新規国民獲得の再起動:SNS広告再開と第2四半期キャンペーンの設計により、登録数の伸びを回復させる
  2. 周遊の分散:鳥取市一極集中を是正し、東部・西部エリアへの誘導設計を強化する
  3. 消費の質の向上:体験型消費・高単価コンテンツとの連携を深め、エリア間単価格差を縮小する

 

本事業は、R7年度に構築した「人を呼び、周遊させ、消費を生む基盤」の上に、第1四半期は安定的な運用成果を確認できた。第2四半期以降は、圏域外へのリーチ回復と消費単価の底上げを両輪として、KPI(R8:会員32,000人→未達、加盟店255店舗→達成済み)の確実な達成を目指す。

補足

1. このデータについて

一般社団法人 麒麟のまち観光局では、鳥取県東部と兵庫県北部にまたがる「麒麟のまち」圏域において、観光DXを活用した周遊促進、消費喚起、関係人口の創出に取り組んでいます。

本ページでは、観光DX事業「このへん共和国」の取り組みを通じて得られたデータを整理・分析し、来訪者の特徴や旅行行動、地域資源への関心、消費行動などについてご紹介します。

観光客がどのような情報を求め、どのように地域を巡り、何に魅力を感じているのか。こうした傾向を把握することは、今後の観光施策の改善だけでなく、地域の観光事業者の皆さまが商品・サービスの開発や情報発信を検討するうえでも重要な手がかりとなります。

本データを、地域全体で観光客の受入環境や周遊・消費の仕組みを考えるための参考情報としてご活用ください。

2. 観光DXとは

観光DXとは、デジタル技術やデータを活用し、観光客の利便性や旅行体験の向上と、観光地・観光事業者の持続的な成長を目指す取り組みです。

単にデジタルツールを導入することではなく、データから観光客のニーズや行動の傾向を把握し、情報発信、商品づくり、周遊促進、消費拡大などの施策に生かしていくことが重要です。

例えば、ウェブサイトやSNSを通じた情報発信、デジタルスタンプラリーによる周遊促進、クーポンによる消費喚起、会員データを活用した継続的な情報提供などが挙げられます。

「このへん共和国」では、こうしたデジタルの仕組みを活用し、観光客と地域との接点を増やすとともに、得られたデータを今後の観光施策の検討に役立てています。

3. 「このへん共和国」の事業概要

「このへん共和国」は、鳥取県東部と兵庫県北部の7市町を対象に、デジタルを活用して地域の魅力を発信し、圏域内の周遊や地域との継続的なつながりを促進する観光DX事業です。

対象エリア

  • 鳥取県:鳥取市、岩美町、若桜町、智頭町、八頭町
  • 兵庫県:香美町、新温泉町

主な取り組み

① 会員基盤の構築・情報発信

会員登録を通じて観光客との接点をつくり、地域の観光情報やキャンペーン、イベントなどの情報を届けています。

② デジタルスタンプラリーによる周遊促進

地域の観光スポットや施設を巡るきっかけをつくり、定番観光地だけでなく、これまで訪れる機会の少なかった場所への誘客を促進しています。

③ クーポンによる消費喚起

加盟店で利用できるクーポンなどを通じて、地域での買い物や飲食、サービス利用につなげています。

④ キャンペーンによる来訪・宿泊促進

テーマに応じたキャンペーンを実施し、来訪の動機づくりや、地域内での周遊・滞在の促進に取り組んでいます。

これらの取り組みを通じて、観光客の行動やニーズを把握し、より効果的な観光施策につなげることを目指しています。

4. データの見方・分析の目的

今回の総括では、事業を通じて把握できた来訪者の属性、旅行の決定時期、情報収集の方法、旅行目的、訪問先、滞在日数、消費、満足度、再訪意向などの観点から、取り組みの成果と今後の課題を整理しました。

主に、次の3つの視点で分析しています。

  • 周遊促進: スタンプラリーなどが新たな訪問先やエリアを越えた移動につながっているか
  • 消費喚起: クーポンなどが地域での消費や加盟店との接点づくりに寄与しているか
  • 関係人口の創出: 地域への関心や満足度、再訪意向を高め、継続的な関係につなげられているか

なお、本分析は事業を通じて得られたデータに基づくものであり、地域を訪れるすべての観光客の傾向をそのまま示すものではありません。また、キャンペーン等による効果については、参加者の行動や回答から確認できた傾向を整理したものであり、施策単独の因果効果を示すものではありません。

R8年度 第1四半期「このへん共和国」調査データ詳細をPDFでご用意しています。下記よりダウンロードください。

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